第15回ツールドのと400

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場所
能登半島一周
内容
カテゴリ センチュリーラン
クラス チャンピオンコース(3日間 430kmの部)
参加者 クラブエクシーの方々、くま(Kimi2R)、 やんにし
コース
松 任
スタート
石川県白山市
志 賀
73.8km
石川県志賀町
門 前
120.0km
石川県輪島市
円山峠(標高250m)
128.6km
輪 島
141.5km

スタート
木ノ浦
41.2km
石川県珠洲市
内 浦
82.2km
石川県能登町
立ヶ谷内峠(標高180m)
101.0km
 桜 峠  (標高250m)
107.0km
穴 水
135.2km
石川県穴水町
中 島
149.1km
石川県七尾市
能登島
166.3km

スタート
沢野トンネル(標高110m)
20.0km
氷 見
48.6km
富山県氷見市
 三尾峠  (標高146m)
65.0km
志 雄
69.5km
石川県宝達志水町
松 任
124.0km
石川県白山市
宿
前 泊
後 泊

 シーサイド松任
  石川県白山市相川町2462
輪 島

 温泉民宿 満月
  石川県輪島市河井町20-1-44
能登島

 くらたに旅館
  石川県七尾市能登島通町チ-58
結果

くま執筆

プロローグ (移動日)

 いよいよ出発の日、午前4時に起きて東シナ海を北上している猛烈な台風14号の動きをインターネットでチェック。予想進路は「北東」。 「これは山口か能登どちらかに直撃?」イヤ〜な予感が走る…。
 午前5時、準備を整え車に荷物を入れようとカバンを持った瞬間、「ん?重い?詰め込み過ぎた?」と思ったが、「どーせ、カバンを持って移動なんてほとんど無いだろうからいいや。」とそのまま車へ。これが後々後悔することになるとは思わなかった…。

 午前5時半、自宅出発。この時すでに雨が降っていたが、まだまだ小雨状態。「広島で雨の中の積み込みは嫌だなぁ」と思いながら一般道で広島(やんにしとの合流ポイント)を目指す。途中、大竹にさしかかった時、いきなり前が見えなくなるほどの大雨。「まさかずっと雨に降られるんじゃないか〜」ますます気力が失せていく…。しかし、宮島をすぎた辺りから遠くに晴れ間が見えるようになる。「なんとか濡れながらの積み込みは回避できるかな?」と少し前向きに。

 午前6時45分、やんにしとの合流地点に到着し自転車と荷物の積み込み開始。
「お〜!やんにしもカバンでかいねぇ〜」
「これで、大荷物はだけじゃなくなったな…。」と内心ほっとしていると、やんにしから「YABAI荷物王の称号は渡さんよ」との声。 「えっ?確信犯?」と思いつつ積み込み完了。
 この時点で結構な積載量だが、はたしてノーステールの荷物とえふの自転車が積めるのだろうか…。不安を抱えながら、今度は北尾さんとの合流ポイントへ。
ノーステール氏との合流をし、荷物の総入れ替え。
 この時、ノーステールやんにしの荷物を見て一瞬絶句。
「なにそれ。荷物デカすぎだよ〜」
ノーステールの荷物と比べると明らかに差がある。いや、ありすぎる。

「やっぱり家出る時に減らせば良かった…」
 『後悔先に立たず』である。
 すべての荷物の積み込みを完了し、能登へ向け出発!
 やはり平日だけあって、自転車を積んだ車は浮いている。中にはケゲンな顔で見る人も…。

 広島ICで高速道路に入り、山陽自動車道→中国自動車道→名神自動車道→北陸自動車道と進む。
 高速下車ICである美川ICに近づくにつれ、左側に日本海が広がる。海が真横に見れる高速道路なんて初めて。なかなか良いものである。
午後3時頃ついに石川県松任(まっとう)市の松任サイクリングターミナルに到着!
 柳井からの距離が約670km,所要時間が約9時間。「着いた〜!」と同時に「来てしまった」の思いが。

 前日受付を済ませ、明日の準備を完了したところで明日の天気予報をテレビでチェック。そこには画面には信じられない(信じたくない?)情報が…。
「台風の影響で能登地方は南西の風が強く、最高気温36℃、快晴となるでしょう。」
「36℃!なんだそりゃ!」ホントにびっくり。30〜32℃は覚悟してたけど、36℃とは…。
「南西の風だから明日は追い風になるよ」とエクシーのノーステール氏。でも、俺にとっては苦手の暑さがある。
「初日から完走の夢が潰える?」そんな考えがよぎる。でも、来てしまったからには走らないといけない。
 まさしく「自分との戦い」になりそうだ。「とにかく頑張るしかないな…」と思いながら明朝5時半起床のため早々に就寝。
「ツール・ド・能登」プロローグが終了する。


1stステージ (松任〜輪島 141.5km)
 1日目スタートの日。朝起きてまず外に立っている風力発電の風車の向きを確認する。確かに南西の風、追い風だ!朝食を取った後、荷物をトラックに預け開会式会場へ。開会式の時間が近づくにつれ徐々に人が増えていく。3日間走るチャンピオンコース参加者が約650人、1日コース参加者を合わせると約1,200人になるらしい。

 午前8時半、ついに「ツール・ド・のと」スタート!なんだけど…。スタートゲートから公道に出るまでが狭く大渋滞。実際に走り出したのは、スタートの合図から10〜15分経っていた。最初は市内を走行、さすがに交通量が多い。真横をダンプカーやトラックなどの大型車両が通る怖さと信号待ちの連続で序々にたまるストレス。つい、前を走るやんにしにぴったりと付いてしまう。そして…事故は起こった
多分、一瞬集中力が切れてたんだろう。前を行くやんにし二人前の人が急停止したらしく、その後ろの人が接触し落車、避けきれずやんにし落車、それを避けきれずやんにしの後ろ(上?)に突っ込んでしまった。
起き上がってから二人とも自転車をチェック。どうやら落車の影響はないみたいでとにかくほっとした。ただ、やんにしのスネに流血&巨大なたんこぶが…。この時点で「ケガせず完走ならず」なんか最近まったく達成できてないような。
みんなで御払いにでも行くかな?

 23.4km地点、最初の休憩ポイントだ。お茶のコーナーには長蛇の列。「これは水道水でいいな」と感じ列には並ばずに水道のほうへ行き、頭から水をかぶる。「冷たくて気持ちい〜」ちょうどいいリフレッシュになった。
 47.1km地点、2回目の休憩ポイント。ここではドリンクとゆで卵のサービスを受ける。ジュースを飲みながらゆで卵をむさぼるように食う。残念ながら塩はなかったけど、うまかった。
 73.8km地点、最初のチェックポイント兼昼食会場。さすがに特別な事情がない限りここでタイムオーバーになる人はいないだろう。あっさり塩味の麻婆豆腐丼を食べ「これはうまいっ!」こっそりもう1杯いただく。その後は、オレンジ,バナナ,レモンをひたすら食った。食いすぎたかなとも思ったが、まだ距離もあるので大丈夫だろうと昼食会場を後にする。
実はこれまでの長距離経験は80kmだった俺。この辺りからは未知の領域になる。とりあえず猛烈な追い風のおかげであまり足を使ってないようなので疲労感は無い。「行けるんじゃないかな」と意識をかなり前向きに持っていくことができた。

 90.5km地点の休憩ポイントに着いてびっくり。海辺にある駐車場なんだけど、そこからの道に高波が…。
「おいおい、これじゃぁ塩水かぶっちゃうよ。」猛烈に吹く横風と高波、「昼食会場で参加者に早々の出発を促していたのは、こういうことだったのね。」とやんにしと二人で納得。高波の間隙をついて出発。なんとか高波は回避した。

 ここから海岸線コース。道路にかなりの波がかかっている。しかし、猛烈な追い風の影響でグングンスピードが上がる。下りでのメーターを見ると62.3km/hを表示していた。「これなら、この追い風と俺の体格を利用して一気に距離と時間を稼いじゃおう」と平地に入ってスピードアップ!それまでのアップダウンで離れていたやんにしとの差が一気に縮まった。
やんにしに追いついた時は「後ろに付いとこうかな」とも思ったが、「せっかくスピードに乗ってるんだから行っちゃえ〜!」と更なるスピードアップ。瞬間的にメーターが60km/hを超え、その勢いのままにこの日最後のチェックポイント(120km地点)へ到着。

 ここから初日最大の難所、円山峠を向かえる。エクシ−のノーステール氏曰く「約10km上って約10km下るから」ここまで120km走ってきての峠越えはキツイ。ふくらはぎの筋肉がピクピクしながら突入した。上り始めはそんなにキツくなくダラダラと上る感じ。「ただ距離が長いだけなのかな?」と思い始めた時、目の前にトンネルが見えてきた。「そういえば、トンネルの手前から旧道に入るのでキツクなるよ」と言う北尾さんの言葉を思い出した。
 俺の前を走ってた人は参加経験者らしく、誘導するスタッフに「トンネルくぐらせてもらえんのかねぇ〜」と冗談を飛ばしていた。スタッフの誘導に従って旧道に入った途端に傾斜がキツクなった。「これはキツイよ〜」と思いながら上る。「頂上まであと200m」の看板が見えた時、「あと少しだっ!」と気合を入れなおし一気に上る。上りのスピードは極端に遅い俺だけど、なんとか自転車を降りずに上ることはできた。これが2日目以降のアップダウンでの走りにつながった。

 円山峠を下りゴールを目指す。もう後は平坦なコースだ。「ゴールまであと3km」の看板が目に入って、更にスピードを上げる。そして、ついにゴール!やんにしエクシーの方々よりかなり遅れてのゴールだったけど、初日141.5kmを無事完走!ゴール地点で振るまわれた鍋はうまかった。
1日目を無事完走
民宿といえば豪華な食事
 自転車を預け、用意されたバスに乗って指定の民宿へ。民宿について「さぁ!風呂だぁ〜!」と行ったノーステール氏とsakonta氏、風呂から帰ってきての一言
「風呂ちっちゃいよ〜。おまけに浴槽のお湯はかなり熱いよ〜」
 どんなんだろう?と実際に風呂に行ってみると本当にちっちゃい!これは一般家庭の風呂を少し大きくした程度だよ。この熱い湯の入った浴槽に入ってご満悦なのは、熱い風呂好きやんにしくらいか…。

 風呂からあがってから、ノーステール氏オススメの御陣乗太鼓を見に行く。会場は民宿のすぐ裏にある旧能登駅(現在の名称は「ぷらっと訪夢」)の前の広場。なかなか勇壮な太鼓でとても良かった。
御陣乗太鼓
 さて、明朝は午前8時スタート。起床時間は午前5時なので今日も早々に就寝。
「明日、体動くんだろうか?」と思いながら就寝。初日を終える。


2ndステージ (輪島〜能登島 166.3km)
 2日目、朝起きると意外に体が軽く感じるのに驚く。でも古傷の左ヒザ側靭帯周辺にちょっと違和感が…。
「まぁ、大丈夫だろう」と思い用意していたヒザ用のサポータは付けなかった。ただ、今日が3日間で最も距離が長くアップダウンの激しいコース設定。腰はサポーターでガッチリ固める。宿から出発する時、ノーステール氏に「バス待つより歩いたほうが早いから歩いて行くよ」と言われついて行く。
「あれっ?やんにしは?」やんにしがいないことに気づく俺。
「トイレじゃない?」とノーステールえふの姿も見えないので、てっきりやんにしと一緒だと思った俺。
先にスタート会場に行ってしまった。スタート会場に着くとやんにしからの電話。
「あの〜みんなドコ行ったの?」
「あれっ?えふと一緒じゃないの?」と聞くと「俺、独り。。。」とやんにし
「しまったぁ〜!」更に道のわからないやんにし間違った道を教えてしまい大混乱。やんにしにはスマナイことしたよ。

 さて午前8時、2日目スタート…なんだけどやはり直後は町の中なので大渋滞。まぁ仕方ないか。
 町を抜けて海岸線へ、ここでいきなりの上り。「なんか調子いいぞ♪」と快調に走る。それもそのはず、この辺りはまだ南西の風が吹いていて「追い風」になっていたんだよね。

 41.2km地点、最初のチェックポイント。ここで異変に気づく。
「あれっ?ここ41.2km地点なのに俺のメーターは20kmになってる…。」
やんにしに確認したところ、41.2km地点に間違いはない。どうやら、昨日メーターをクリアした時に誤って設定を変えてしまったようだ。(後日、表示をマイルにしていたことが判明。)

 アップダウンの連続で、やんにしとは完全に離れてしまい単独走行。
「どうせここからは約20kmごとに休憩ポイントがあるんだから、メーター気にせず走ろう。」
この開き直りで逆にペースが一定になり後々良い結果となった。

 62.3km地点の休憩ポイントはバナナを2本いただき早々に出発。今日は一番苦手なコース設定なので休憩しすぎてタイムオーバーってことにはなりたくないんでね。


 左「キリコ祭りの山車

 中「軍艦島(見附島)」

 右「恋路海岸


 82.2km地点のチェックポイント兼昼食会場到着。先に到着しているはずのやんにし達の姿が見えず探しまわってると、やんにし達が到着するのが見えた。
「あ〜、そういえば途中の観光ポイントがどうのってノーステールが言ってたな」
途中でコースをはずれ観光する余裕のあるエクシーの方々とやんにし。俺にはそんな余裕はない。「これが今の実力差だな」とあらためて実感すると同時に「来年はもっと余裕のある走りをするぞ」とこの時に来年も参加することを決める。

 100.1km地点の休憩ポイント。ここから先の約55kmが2つの峠を含むアップダウンの連続となる区間なので、しっかりと水分補給をすると同時に「この区間でタイムオーバーにならなければ、3日間完走が見えてくるぞ。」と集中力を高め出発する。
 とにかく、『ダラダラとした上りが終わると、ちょっと下ってまたダラダラ上る』って感じ。これは精神的にキツイ。ちょうど2つ目の峠(桜峠)を越えて下りに入った時に、前を行く人達が一斉に左にコースアウトしていく。
「ん?休憩ポイント?」連鎖反応で俺も左へコースアウトをすると、ただ人が集まってるだけ。
「なんだ、休憩ポイントじゃないじゃん。」俺の後続から声が…。どうやらかなりの人が連鎖反応でコースアウトしたみたい。「この先に休憩ポイントがあるからな」と、ここでは自主休憩せずすぐに出発。無駄に時間を費やしてしまった。

 124.3km地点、今年新設の能登空港前の休憩ポイント。このポイントに入るための看板が見えた時、
「これで、ダラダラしたアップダウンから開放される。」とちょっとほっとしながら左にコースアウトしようとしたその時、
「え〜っ!休憩ポイントなのに上らされるの〜!」
休憩ポイントへの看板から約100m上らされて休憩ポイントへ。
おまけにドリンクを配られるだけで、何もない殺風景な場所…。
「ドリンクを配ってるキャンギャルよりも、その前で交通整理している婦警さんのほうがカワイイぞ。」
そう思いながらドリンクを飲んでると、後ろのほうから
「このまま行けば、次のチェックポイントでタイムオーバーになるかもなぁ」という声が聞こえた。
「えっ?そうなの?マズイじゃん!」と驚く俺。こうしてはいられないと、そそくさと出発。

 ここから次のチェックポイントまでは激下り。「できるだけやんにし達との差を縮めよう」と一気に下ろうとしたけど、コーナーには車道いっぱいに小さなミゾが切ってありタイヤが引っ掛かりそうで怖かったのであまりスピードを上げずに下る。
 途中で下りスピードの遅い人が左車線の真ん中近くを走っていて、俺を含む後続者が抜くに抜けず下りで詰まってしまう。後ろから車が来ていないことを確認してから、「右行きます!」と大きな声をあげてその人を抜く。事故の原因にもなりかねないので、できる限り左側を走行してもらいたいものだよ…。

 135.2km地点、この日最後のチェックポイントに制限時間内に到着。どうやら「ツール・ド・のと」は『タイム・順位をまったく出さない、あくまでも完走目的のサイクリングイベント』という主旨が徹底されていようで、センチュリーランとは違い制限時間設定がかなり緩い。これならほとんどの人が完走できそうだ。
 2日目ゴールまであと約20km。目の前にはゴール地点のある能登島とをつなぐ『ツインブリッジのと』が見えてきた。
「ちょっと止まって景色眺めてみるかな。」
そう思ってスピードダウンした瞬間だった…。
「ゴールまであと17km、ここで止まらずに走ってください。」とスタッフの声。
え〜っ、ちょっとぐらいいいじゃん…」と思いながら橋を渡ろうとすると、今度は目の前にやんにし達がひょっこりと出てくる。
「やっぱり観光してたんだね」
でも、とりあえずこれでみんなに追いついた…ハズなんだけど、ここからが更につらかった。能登島は結構大きな島で、起伏に富んでいて橋を渡り終わってからアップダウンの連続。
「昨日・今日と最後に精神的にきついコースだなぁ〜」と思いながら走る。とにかく、『ゴールまであと5km』の看板からゴールまではものすごく長く感じた。

 そして2日目ゴール。166.3kmを無事に走り終わった。さすがに今日はケツが痛かった。
これで昨日からの通算距離が307.8km、我ながらよく走ってるよ。
 この日宿泊の民宿、部屋から『ツインブリッジのと』が良く見える。景色は最高な場所だ。
 「ツインブリッジのと
 風呂に入り終わり明日の準備をしていると、島内の有線放送で
「○○さん方の○○さんが夕方より行方不明となっています。島民のみなさん探して下さい。」
「何事?」と顔を見合わせるみんな。有線放送で呼びかけるなんてスゴイなと思った。

 ここでの晩飯がすごかった。量が半端じゃない。
『アジの塩焼き,アジの南蛮,刺身,ウニ,カキ,シャコ,各種天麩羅などなど』
 もちろん、ご飯もおかわり自由。お腹パンパンになるほど食った。満足満足。
 「殻つきのウニ
 「殻つきのカキ
 さすがに古傷の左ヒザ側靭帯周辺が痛む。しっかりとクーリングジェルを塗り込みマッサージをする。
「とにかくあと1日、ヒザもってくれよ…」と思いながら就寝。これで2日目終了。


3rdステージ (能登島〜松任 124.0km)
 ついに最終日、今日の距離は124.0km。これを走りきれば『完走』だ。
朝起きて左ヒザをチェック、体重をかけると少し痛みがある。
「さすがに今日はサポーターが必要だな。」と感じ、腰と左ヒザにサポーターを着ける。
 「それぞれの最終日
 ノーステール氏から、「スタート直後から最初の休憩ポイントまでの約25kmは渋滞を起こしやすいから、できるだけ先頭集団に付いたほうがいいよ」とのアドバイスを受ける。これを受けて、俺とやんにしエクシーの方々と一緒に前のほうに並ぶ。
 「北国新聞
 ここで先日より行方不明になっていた人が見つかったとの連絡が入りみんなで拍手。

 そしてスタート!先導車がゆっくりとしたペースで引っ張るので、先頭集団に楽についていける。自転車に乗っている時はヒザの痛みもほとんど感じない。これならなんとかなりそうだ。

 15km付近からこの日初めての上りが始まり、相変わらず俺は後退していく。しかし、前の方がなぜか詰まっている…。後で聞いたところ、先導車が先頭集団の頭を極端に抑えたため、上りで渋滞したとのこと。これは逆に危ないよ。

 この峠を下ると27.0km地点、この日1回目の休憩ポイント。ここから次の休憩ポイントまでは平坦なコースなので、バナナを1本もらったでけで、すぐに出発。相変わらずやんにし達とはすぐに離れてしまうが、地道に自分のペースで走り続ける。

 48.6km地点、1回目のチェックポイント到着。このあと「3日間で2番目にキツイ」と言われる峠が控えている。ここでしっかりと水分補給をして用意していたサプリメントを食べて「最後の峠越え」に備える。
「ここを越えれば、あとはほぼ平坦なコースだよ」
 ノーステールえふの言葉に気合を入れ直す。正直言って、この辺りから左足を踏み込むと痛みが出るようになっていた。「最後の峠」は極端な傾斜はないがダラダラと長い。とにかく、あまりヒザに負担をかけないように上っていく。坂の途中にある民家から人が出てきて応援してくれる
「もうちょっとで山頂や〜!頑張れ〜!」と沿道の人。
『頂上まであと200m』の看板が見えた頃から、遠くから大勢の子供の声が聞こえる。
「そういえば、Fさんが『頂上では感動するよ』とか言ってたなぁ。」と思い出しながら頂上へ行くと、そこには小学生の集団が…。冷たい水の入ったコップと飴を差し出してくれる。ここでの地元小学生の応援は毎年恒例だそうだ。キツイ上りが終わった後にこの応援は確かにうれしい。

 峠を下り終わった69.5km地点。昼食会場兼「ツール・ド・のと」最後のチェックポイント。
 ここをクリアすれば、もうタイムオーバーにはならない。あとはゴールを目指すのみだ。

 84.1km地点にある最後の休憩ポイント。ここは先頭集団が出発して少し時間を置いて出発する。「集団の頭を抑えられているので、あわてて行っても自分のペースで走れずおもしろくない」というノーステール氏の考えに賛成してのこと。ま、どうせ俺はチギれるんだけど。

 残りの距離が30kmくらいになった頃から、序々に交通量が多くなる。信号も増え、それまで離れていた集団がどんどんつながり大渋滞し始めた。信号待ちのたびに痛みのある左足をひねってビンディングペダルの脱着をしなければならず、そのたびに痛みが大きくなる。今までの峠越えよりもこっちのほうがダメージが大きい。最後の10km、肉体的・精神的に3日間で一番つらかった。

 そして…ついにゴール
 3日間、431.8km完走。ゴールした瞬間は「やっと終わった…完走したぞ…」とこみあげてくるものもあった。先に着いていたやんにしエクシーの方々に会い「おつかれさま」とお互いをねぎらう。

 閉会式、さよならパーティーも終わり、宿泊する松任サイクリングターミナルへと移動する時、必要な荷物以外を積み込んで置こうと車に近寄ると…、
「うわっ、車が真っ白!」
 台風の影響で海から猛烈な強風が吹いたおかげで、砂と塩が車にびっしり!
「これは明日、コイン洗車場を探さないといけないな」と思いながら宿に入る。
 「さよならパーティー
 風呂に入り、部屋でのんびりとコース図を見返す
「これ、全部走りきったんだなぁ。」 達成感と脱力感でいっぱいになっていく。
3日間気を張っていたものが切れ、いつの間にか眠ってしまっていた。


エピローグ (移動日)
 久々にのんびりできる朝。朝食もゆっくりと取り部屋でくつろぐ。
 午前10時頃出発の準備に入る。水沼さんは前日に帰りノーステールえふは観光をして帰るので、帰りはやんにしと2人。サイクリングターミナル前でノーステール氏とFさんを見送った後、お土産を買うためコイン洗車場を探しながら金沢駅へと向かう。
「お土産、何にしようか」と迷いながら選ぶ。結構時間を費やしてしまった。

 金沢駅から帰る途中コイン洗車場を見つけ、とりあえず洗車。しかし、洗剤がでない…。
「何もしないよりはマシか」
 洗車?を終え、いよいよ帰路に着く。ここから柳井まで約670km。これを走りきってようやく「ツール・ド・のと」全行程終了だ。高速に乗って最初はものすごい眠気に襲われたが、途中からバッチリ目がさえた。
適当にサービスエリアに寄りながら、午後8時半頃広島に到着。やんにしお疲れ様。

 さあ、ここから柳井までは一人。下道でのんびり帰ることにする。特に混むこともなく順調に走ることができ、午後10時頃自宅到着。
 ようやく「ツール・ド・のと」完結。来年も是非参加したい。



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